テレプシコーレ舞曲集について


 ミヒャエル・プレトリウス(Michael Praetorius、1571年 - 1621年)はドイツの作曲家・オルガニスト・音楽理論家。世界初の音楽百科事典とされる『音楽大全』の著者としても有名である。

 宮廷の舞踏教師であったアントワーヌ・エムローから、舞曲の旋律を4声および5声の曲に編曲してくれるように依頼されたプレトリウスは、ギリシャ神話に登場する「芸術」を司る9人の女神のうち舞踏をつかさどる女神「Terpsichore」に敬意を表して曲集のタイトルとし、1612年に出版された。時代はバロック初期であるが、曲は「ルネサンスの世俗舞曲」とみなされている。

 曲集の序文には
「これらの舞曲の旋律や歌は、主として有能なヴィオール奏者やリュート奏者として知られているフランスの舞踏家たちが作曲したもので、彼らが仕える貴族たちに踊りを教えるとき、それらの楽器で旋律を演奏した」 「この曲集にはフランス人の舞踏教師が踊る様々な舞曲が含まれており、それらは王侯貴族の食卓や宴会を楽しませるために用いられるものである」
と記されている。

MPC = アントアーヌ・エメロウから提供された舞曲の旋律を4声および5声にしたもの。
FC = フランス人のヴァイオリニスト、ピエール・フランシスク・カルーベルによる曲
Incerti = 作者不明の2声の曲に、プレトリウスが内声を加えた曲。

演奏に当たって
 原典楽譜には楽器の指定はありませんし、強弱、フレーズの指定等何もありません。
 曲は全て「ルネッサンスの舞踏音楽」つまり、踊る為の音楽であったことを踏まえて、拍子、リズムを前面に出し旋律のフレーズをはっきりと出してください。
ルネッサンス音楽の明朗で伸び伸びとした演奏にするためにmfを基本にしmpは弱くならないようにmfよりもわずかに小さくと捉えてください。
バロック音楽のエコー効果(f、p)は大げさになりすぎないように軽めにしましょう。

 ギター合奏にクラシックの楽曲は少ないのでこの曲集は大変良い教材になります。
各パートは単旋律しか弾かないので一見易しそうに見えますが、曲として仕上げるには合奏の基本を身につけておく事が必要となります。各パートの音量のバランス、リズム感、特に縦の音を揃えないと和音が響きません。
合奏の力を付ける意味で良い教材といえます。


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